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進化しすぎた脳

進化しすぎた脳を読みました。

著者は池谷裕二さん。東大の薬学系研究科で准教授をやっているバリバリの研究者です。

普通こういった第一線の研究者が本を書くと、専門的過ぎて素人には意味不明なものになるか、逆に簡単にし過ぎて薄っぺらなものになるかのどちらかだと思うのですが、この本はその辺の力加減が丁度いいという印象を受けました。

内容は著者の専門である脳の話で、何年か前に中高生相手に講義した内容をもとにしているということです。とはいっても中学生レベルの話ではなく、なかなか高度な話題に踏み込んでいます。多分、大学教養レベル以上の人が読むと丁度いい感じかと思います。

シナプスとかグルタミン酸とかいった、いわゆる脳科学の話ももちろん出てきますし、意識とは何かとか、人間とコンピュータは何が違うのかといった哲学的な話も出てきます。扱っている範囲は非常に広いのですが、かといって個々の話が薄っぺらということはなく、著者の優秀さが滲み出ているという印象です。東大に入って、そのまま大学に残って研究をしている人というのは、さすがにレベルが高いです。こういう優秀な人達がもっとたくさん本を書いて、科学の面白さを世の中に広めてくれたらいいなあと思います。