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ボナンザ VS 勝負脳

ボナンザVS勝負脳 を読みました。

著者は将棋棋士の渡辺明竜王と、ボナンザ開発者の保木邦仁さん。

ボナンザというのは、いわゆるコンピュータ将棋プログラムです。2006年の世界コンピュータ将棋選手権で優勝し、2007年に渡辺竜王と対戦し注目を集めました。本書は、この対戦を中心に二人がコンピュータ将棋について語ったものです。

私はこの本を読むまで保木さんの情報を全く持っていなかったのですが、物理化学関係の研究者が本業という事を知り非常にびっくりしました。コンピュータ将棋の開発というのは近年非常に高度化していて、とにかく時間がかかる事だと思うのですが、それを研究の傍ら成し遂げたというのはすごい事です。

物理化学とはいっても、実験屋ではなく計算屋とのことですので、もともとプログラミング能力は高かったと思うのですが、それにしてもコンピュータ将棋のソフトをいちから開発するのはとても大変なはずです。本書の中ではその辺りをサラッと語っていますが、すごい能力だと思いました。

一方の渡辺竜王については、NHK杯の対局や将棋世界の記事を通してある程度知っていましたが、大体イメージ通りの事を書かれていました。とにかく強気で、人間がコンピュータに負けることは当分ないだろうという事です。最近の一般的な見通しでは、遅くても10年以内くらいにはコンピュータ将棋がトップ棋士よりも強くなるという事ですから、これは結構強気な発言です。こういった棋士がいると、今後の展開が楽しみになっていいですね。

本書の主題はコンピュータ将棋なので、多少専門的で難しいところもありますが、大部分はコンピュータ将棋の素人でも楽しく読めると思います。人工知能に興味がある人にはおすすめの一冊です。