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実質実効為替レート

弱い日本の強い円を読んで、実質実効為替レートが気になったのでExcelでグラフを描いてみました。使用したのはBIS(Bank for International Settlements)が公表しているデータです。

実効為替レートとは、ある通貨が他の通貨と比べてどのくらいの水準にあるのかを見るための指標です。普通の為替レートは、ドル/円とかユーロ/円のように二国間で表現しますが、実効為替レートは複数の通貨との相対的な関係を考えて計算します。実効為替レートを見ることで、その通貨が他の通貨よりも高いのか安いのかを総合的に判断することが出来ます。

実質実効為替レートとは、この実効為替レートをもとに、物価の違いを調整して計算した指標です。最近の日本のようにデフレが進んでいる国では、お金の価値は相対的に上がって行きますが、逆にインフレの場合には価値が目減りします。この影響を加味したものが実質実効為替レートです。

以下のグラフは、1994年から2011年末までの実質実効為替レートです。基本的には同じ内容の図なのですが、基準にした年が異なっており、上から順に1994年、2000年、2010年です。日本円(JPY)、米ドル(USD)、ユーロ(EUR)に加え、FXで人気のあるオーストラリアドル(AUD)、ニュージーランドドル(NZD)のグラフを示しています。

これらのグラフを見てまず思うのは、基準点によって印象が結構変わるということです。実質実効為替レートは相対的なものなので、どのグラフも本質的には同じなのですが、基準点によって違うもののようにも見えてしまいますので、この点には注意が必要です。

さて、まずは日本円についてです。

巷では円高が大きな問題になっていますが、実質実効為替レートを見る限り不当に円が高いということでもなさそうです。むしろ、この15年で見ると円は弱い通貨となっています。これは、日本とその他の国の物価上昇率に大きな差がある影響です。

他の通貨を見てみると、AUDとNZDが強く、USDとEURが横ばいといった感じです。日頃為替市場を見ていると、EURとUSDは結構弱いという印象だったので、これも少し意外な感じです。

このように実質実効為替レートを見てみると、ドル/円やユーロ/円のレートを見ているだけでは分からない事が色々と見えてきます。弱い日本の強い円でも推奨しているように、たまには実質実効為替レートやドル/円以外のレートもチェックして、為替市場の方向性を考えなければいけないと思いました。

実質実効為替レートのグラフを描いたついでに、各通貨ペアの相関係数についても計算してみました。結果は以下の通りです。

  AUD EUR JPY NZD USD
AUD 1.00 0.39 -0.61 0.78 -0.70
EUR 0.39 1.00 -0.16 0.63 -0.67
JPY -0.61 -0.16 1.00 -0.54 0.09
NZD 0.78 0.63 -0.54 1.00 -0.63
USD -0.70 -0.67 0.09 -0.63 1.00

相関係数が一番大きいのはAUDとNZDのペアとなっています。オーストラリアとニュージーランドは似たような国なので、これは納得がいきます。逆に一番小さかったのはAUDとUSDの組み合わせ。何故かはよく分かりませんが、グラフを見ても確かに反対向きに動く傾向が確認出来ます。

また、JPYとUSDについては相関係数がほぼ0になっており、関連性はほとんど無いという結果となりました。日頃はドル円を見る機会が多いので、どうしても円高ならドル安、円安ならドル高という気がしてしまいますが、実質実効為替レートで見る限りこのペアには相関が無いという結論です。これにはかなり驚きました。

ということで、ここ15年の実質実効為替レートのグラフを描き、相関係数を計算してみました。普段はFXのためにしか為替を見ることがなく、どうしても短期的な動きを気にしてしまいますが、たまにはこうして大局的に眺めてみる事も必要なんだと感じました。これが株やFXのためになるのかは分かりませんが、これからも年に一度くらいはチェックしてみようかと思います。