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将棋電王戦 米長邦雄永世棋聖 vs ボンクラーズ

人間とコンピュータ、どちらが将棋が強いのかという事が、ここ数年話題になっています。数年前までは、わりとはっきり人間の方が強かったのですが、ボナンザというプログラムが登場して以降、コンピュータ将棋がまた一段と強くなり、最近では微妙な力関係になってきています。

コンピュータ将棋の実力がアマチュアレベルを超えているのは間違いなく、市販の将棋ソフトを普通のPCで動かしても、99%以上の人間は勝つことが出来ません。よって、プロ棋士が対局して白黒付けるしか無いわけですが、プロ棋士側には色々と葛藤があるらしく、なかなか対戦が実現しないという、もどかしい状態が続いていました。

将棋ファンやコンピュータ将棋関係者としては、実力が伯仲している今の時期にたくさんの対戦を見たいのですが、プロ棋士の団体である日本将棋連盟が乗り気ではなく、今までほとんど勝負が行われていません。

こんな状況のなか、将棋連盟会長の米長永世棋聖が重い腰をあげ、昨日やっと対局が行われました。対局者は会長自身。すでに引退してはいますが、元は一流棋士なので、それなりの実力を保っているものと思われます。対する将棋プログラムはボンクラーズ。コンピュータ将棋の世界に革命を起こしたボナンザを改良して作られたプログラムです。

将棋の内容ですが、米長永世棋聖が二手目に玉を上がり力戦形に誘導しました。そして、金銀を集めて抑えこみをはかるという力将棋になります。序盤、中盤はこれが上手くいき、米長永世棋聖が少し有利だったと思います。ただ、勝負所で見落としがあり、終盤であっけなく負けにしてしまいました。コンピュータを相手にするときの典型的な負けパターンと言えるでしょう。

ということで、将棋自体はそれほど盛り上がらなかったように思いますが、対局した事に意味があります。また、対局後の記者会見で、来年も対局を行うという発表がありましたので、その点は評価出来ます。来年はプロ棋士五名が対局するということですから、力関係がよくわかることでしょう。もしそこで人間側が負けるようであれば、プロ棋士の中でもトップレベルの人たちが登場するというような事も言っていました。

ただ、それだと時期が遅すぎる危険があります。2,3年前まではコンピュータの方が弱かったのは確かですが、最近は実力伯仲で、どちらかというとコンピュータの方が強くなっているのでは無いかと思います。なので、今すぐに羽生、渡辺といったトップ棋士が対局してくれると、すごくいい勝負になるはずです。

コンピュータ将棋の進化は速いですから、2,3年もすると全然歯が立たない状態になってしまうかも知れません。そうなってからでは、いくら人間対コンピュータの対戦を行ったところで、あまり面白くありません。お金の問題とか、プライドの問題とか色々あるのは理解出来ますが、せっかく面白い時期に来ているのですから、積極的に対局を行なって欲しいものです。