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移行期的混乱

移行期的混乱―経済成長神話の終わりを読みました。著者は平川克美氏。

本書の主張は「日本が経済成長できる時期は終わった」ということ。簡単にまとめると以下のようなことが書かれています。

日本の経済成長率は、戦後の高度成長期から下がり続けており、ここ10年くらいの平均は1%程度である。これは一時的な景気動向によるものではなく、日本の成長余力が無くなったことが原因である。さらに今後は少子高齢化、人口減少の時代を迎える。時代背景が異なるため、従来の成長を前提にした対処法は混乱を招くだけであり有害である。

これは確かにその通りで、政治家や財界人がよく使う「成長戦略」という言葉には私も違和感を覚えます。生産年齢人口がどんどん減っていく中で、どうやって成長率を維持するのかという問題もありますし、そもそも経済成長する必要があるのかもよく分かりません。

本書はこれらの点について解答を与えているわけではありませんが、著者なりの考え方が丁寧に説明されており、それなりに楽しめました。日頃はせいぜい数年というスパンでしか将来を考えませんが、たまには百年、千年という歴史の中での現状を考えてみるのもいいものです。